漢方はどんな病気の治療に向いているのか?


まずはじめに、漢方薬にはどんな病気に対しても有効な処方をお選びできます。カゼでも外傷でも癌でも水虫でもエイズでも、原因不明の病気であっても、漢方の理論に沿って処方を選べば、その病気に対応する薬が選べるのです。しかし漢方薬局の店主である私も、もし心筋梗塞を起こしたり事故にあってケガをしたら、まずは迷わず病院にいきそして西洋医学的治療を受けるでしょう。それは緊急を要するような病気では、多くの場合西洋医学の方がより有効な治療手段を持っているからです。

あたり前なことですが、漢方薬にも病気によって向き不向きがあります。大切なことは、漢方薬の特長を知り、漢方と西洋医学の両者をうまく使いこなすことです。一般にケガなどの外科的領域の疾患、脳出血や心臓病など緊急処置が必要になる病気、悪性腫瘍などでも手術可能な状況のケース、感染症で治療法が確立しているもの、などはまず病院に行き西洋医学的治療を受けるべきです。

しかし一部の疾病や慢性病などでは東洋医学のほうが治療に役立つケースもたくさん存在します。
ではどんな時に漢方を用いたら良いでしょうか?以下に列記します。

【1】病気を予防したい。体質を改善したい。
 病気になってから対処するより、病気を未然に防ぐ方が遥かに良いのは当然です。西洋医学でもこの分野は、予防医学として最近注目されてきています。が、昔から漢方では特に得意としている領域で、現代でも西洋医学よりも優れている部分の一つと言えるでしょう。又、カぜをひきにくくしたい、虚弱な体質を強くしたい、冷え性を治したい、ストレスに強くなりたい、などの体質改善は、西洋薬より漢方薬のほうがいまだに優位に立っていると思います。
【2】検査などで異常がないが、体調が悪い。
 このような場合病院では手の打ちようがなく、気のせいとか、ストレスや疲れがたまっているだけとか、自律神経失調症などの診断になってしまいがちです。出される薬はビタミン剤や、場合によっては精神安定剤などの処方が選ばれるケースも多いでしょう。このような検査で数字に表われてこない原因不明の症状を治療するのは、西洋医学は苦手であるといえます。でも人間の感覚は時に検査より鋭敏で、症状が感じられればどこかに悪い所があると思われますし、実は重大な病気になる一歩手前で身体が危険信号を発している状態かもしれません。このような場合、漢方医学では未病(みびょう、未だ病いならず)の状態と考え重視しており、昔からいろいろな対処法を研究しています。漢方薬のとても有効な分野です。
【3】生活習慣病(成人病)、慢性疾患など
 糖尿病、高血圧、肝臓病などの慢性的な病気も、漢方薬が効果を発揮する例が多いものです。検査値が極端に高いなど、緊急を要する症例では新薬を使うことが最優先されますが、軽症例や初期段階ではまず漢方薬を試してみるととても良いケースがあります。これらの疾患では、病院の新薬をのみ始めたら一生のみ続ける必要が発生する事が多いものです。でもたとえば糖尿病で、漢方薬を飲んだらダイエットもでき血糖値が下がり、薬なしでもだいじょうぶになった、という例もあります。他の慢性病も同様です。漢方だけでどの症例も100パーセント十分な効果があげられる、とはもちろん言えませんが、プラスになることが多いのは事実です。また、西洋医学と漢方医学を併用することで、単独での治療よりも好成績をのこせることも多いのです。
【4】婦人科疾患の一部
 婦人科疾患は漢方では血の道の病といい、漢方薬には効き目のよい薬が多い領域です。具体的には不妊、生理不順、生理痛、無生理、子宮内膜症、子宮筋腫、更年期障害、乳腺炎、子宮下垂などで、新薬の治療に負けない程の効果があげられることが多いものです。強い薬や手術を選択する前に、まず漢方薬を試すのは悪い選択では無いと思います。そして、ホルモン剤のような副作用が少ないのも良い点です。また患者さんが妊娠中であっても、つわりやカゼ・便秘などの病気治療に安心して飲める薬が漢方には沢山あるのも特長です。
【5】自律神経失調症などストレス性疾患
 この分野の治療は病院ではあまり打つ手がない上、病気という認識がうすく時には相手にしてもらえなかったり、気のせいといわれるケースもあります。しかし現代のストレス社会では、非常に悩んでいる方が多いのが実情です。しかも気のせいでかたずけられるわりには、症状の苦しさは重い病気にも劣らないものがあり、患者さんはとても悩みます。よくある症状は、『めまい、のどの詰まり感、動悸、呼吸が苦しい、漠然とした不安感、不眠、多夢、イライラ、体がふわふわした感じ、寝汗をかく、冷える、ほてる、耳鳴り、慢性疲労』などですが、検査しても何も異常なし、となるケースが大半です。しかしこれらの症状には、漢方薬がとても良く効く場合が多いのです。まずはきちんと話しを聞いてくれる漢方専門薬局に相談することをすすめます。
【6】アレルギー性疾患(喘息、アトピー、鼻炎など)
 アレルギー疾患に関しては、西洋薬には副腎皮質ホルモン剤をはじめ、強力な抗炎症剤があり、消炎作用を較べたら漢方薬より数段勝ります。症状の状態により新薬を使うことは、苦しい症状を抑えるうえで悪い選択ではありません。しかし、西洋薬では体質そのものを改善するという角度から見ると、強力な効果をあげられる薬はまだないのが実情です。従って症状がでるたびにその場凌ぎ的に服薬を繰り返すだけ、というような症例も少なくありません。漢方薬ではアレルギー性疾患に対して、体質改善という目的で用いて著効をあげることがしばしばあります。しかも将来的には薬の服用そのものも止められる可能性が高いのです。新薬との併用療法も可能なので、長くアレルギー性疾患に悩まれている方は、漢方療法も一度試されるとよいと思います。薬に頼らないですむ健康な身体を作りましょう。(ただし、アレルギー性疾患の漢方薬選定は難しいので、漢方専門医か漢方専門薬局に相談した方が賢明です。
【7】老化に伴う病気(健康な老後を過ごす為に)
 漢方医学は、長年不老長寿という永遠のテーマを追ってきた歴史があります。もちろんかなわぬ夢だったわけですが、老化に伴う衰えや症状に対し、効果のあがる薬も多数見つけたのです。具体的には、動脈硬化症・老人の健忘症やボケ・白内障・前立腺肥大・骨粗鬆症・慢性腰痛・体力の衰えなどの老化に伴う疾患に漢方はとても効果的です。温和な漢方処方を選べば、どんなに高齢でも副作用の危険はほとんどないといえますし、これからの高齢化社会に向けこの分野での漢方薬の重要性は増すばかりと思われます。
【8】難病で決定的な治療法がまだない病気(ガン・膠原病など)
 漢方薬は、免疫力の強化や正常化に効果がある物が多いのが特長です。従って免疫系の疾患、たとえば膠原病やリウマチ、その他腎炎などの難病で副腎皮質ホルモン剤が有効な疾患類には、かなりの効果を発揮する事が多いのです。またあらゆる種類や段階のガンに対しても、免疫力を高める補助療法として取り入れることで大きなメリットが期待できます。エイズにも漢方で効果が上がっているという報告があり、テレビなどで目にされた方も多いと思います。その他にも内分泌系や代謝の異常からなる病気にも、漢方薬で効果があがるケースが沢山報告されています。
【9】現代医学に限界を感じてしまったとき
 誤解が無いようにいっておきますが、現代医学=西洋医学は総体的にみて、漢方を含め他のあらゆる治療法の中でも、多くの点で優れていると思います。しかし、万能ではないのも承知の事実です。西洋医学では診断がつかなかったり、よい治療法が無い病気でも、西洋医学と全く別個の歴史と価値観をもつ漢方医学から見れば、意外に簡単に適切な対処法が見つかることもよくあるのです。長い歴史に培われってきた漢方の膨大な知識の中には、現代でも大変役に立つ英知がいきづいています。上にあげた疾患以外の多くの病気でも、もしあなたが現代医学をもってしても希望が見えないような状況なら、一度漢方の専門の病院か薬局に相談してみるのは無駄ではないと思います。また別の解決策が見えるかもしれません。
   

ご連絡はこちらからも可能です。kanpou@hukuroudou.jp


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